3/10
前へ
/171ページ
次へ
「翔ちゃん!!」 俺に気がついて嬉しそうに手を振る美夜子は、普通に可愛いとは思う。 「美夜子、こういうのは、頼むからやめて」 美夜子のお母さんと、俺の母さんは、学生の頃親友だったらしい。 お互い結婚して、俺や美夜子が産まれて、だんだん疎遠になって。 そんな2人は、俺らが幼稚園の時に、うちの母さんと親父が離婚してばあちゃん家に住むようになって、再び交流をもつようになった、らしい。 「だって、翔ちゃん全然会ってくれないもん」 最初の頃から、俺になついた美夜子。 人見知りの美夜子は、幼稚園でも友達ができなかったようで、美夜子のお母さんは、俺と遊ぶ美夜子に嬉しそうにしていた。 「俺だっていろいろあるんだよ」 俺は俺で、同い年なのになついてくる美夜子が、まるで妹ができたようで嬉しかった。 俺はずっと妹か弟が欲しかったから。 …それを言ったら、母さんが辛そうな顔をしたから、それから言ったことはないけれど。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加