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「聞かない方がいいかもしれない」
そう言う綺音ちゃんの言葉を信じて。
聞かなければ良かった。
「な、なに?教えて…」
真っ直ぐとこっちを見て。
…だけど、表情は相変わらず浮かない顔のままの綺音ちゃん。
「…植原、彼女いる」
…時間が一瞬止まった気がした。
「中学から私立行った子」
泣きそうな顔でそう言った綺音ちゃんに。
笑わなきゃ、そう思った。
「そ、そっかー。彼女いるんだ」
自分で口に出すと、綺音ちゃんに言われるよりも、胸に突き刺さった。
「で、でも、噂かもしれないし!それに、もう別れてるかもしれない」
…火のないところには、噂はたたない。
中学生になって、半年。
別れてるかどうかは、わからないけど。
「大丈夫だよ、綺音ちゃん。ただ、いいなぁって思ってたくらいだし」
大丈夫だよ、大丈夫。
綺音ちゃんにではなく、自分に言う。
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