6/10
前へ
/171ページ
次へ
「翔ちゃん、サッカー楽しい?」 帰り道。 美夜子に聞かれる。 「楽しいよ。修平も一緒にやってるんだよ」 ふーん、と興味無さそうな返事。 「美夜子は?学校どうだ?友達できた?」 無言になった美夜子に。 美夜子にバレないように、ため息をついた。 …俺は、美夜子が私立に行けば、友達もできると思って。 美夜子を私立に行かせるために、付き合うことに了承した。 美夜子に、友達を作って欲しいから。 それなのに、美夜子からは、友達を作る気なんてないように感じる。 「…だから、翔ちゃんがいればいいんだって」 そう言い張る美夜子に。 俺は、再び美夜子にバレないように、ため息をついた。 「俺はいるから。だから、美夜子も友達作れよ。楽しいから」 俺はいるから、そう言いながらも。 心の中では思う…いつまでも一緒にいられるわけじゃないんだからって。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加