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「翔伍くん、ごめんね。いつもいつも、美夜子が迷惑かけて」 申し訳なさそうにそう言う美夜子のお母さん。 「いえ…大丈夫です」 …ちょっとめんどくさいとは、思うけど。 でも、美夜子に笑っていてほしいとは、本当に思うから。 「あ、ちょっと待ってて」 ジョウロを庭に置いて、家の中に入っていった美夜子のお母さんは、家の中から少し重そうな袋を持って帰ってきた。 「これ、パパのお家から送ってきたから、良かったら食べて」 袋の中には、きれいなリンゴが入っていた。 そういえば、美夜子のばあちゃん家って、青森だっけ。 母さんは、美夜子のばあちゃん家のリンゴが大好きだと言っていた気がする。 「ありがとうございます」 美夜子のお母さんに頭を下げて、家へと帰る。 あの人は、気が付いているんだろうか。 俺が美夜子のことを、好きではないこと。
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