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「ただいまー」 美夜子の家からうちまでは、そんなに距離はない。 徒歩5分とか。 だけど、学校のカバンと、リンゴをもっての帰宅はそれなりに重かった。 …学校のカバンと言っても、教科書は学校だから、体操服とかしか入ってないけど。 「おかえり」 帰ると珍しく母さんがいた。 親父と離婚してから、母さんは毎日夜まで働いていて、ほとんど家にいない。 ばあちゃんやじいちゃんいるから、さみしいと思ったことはないけど、大変そうだとは思う。 「珍しいんじゃん、こんな時間に帰ってるなんて」 思ったことを言っただけなのに… 「あら、私が早く帰ってきちゃいけないわけ?」 …別にそんなことは言っていない。 「あ、これ、美夜子の家でもらったよ」 美夜子の家でもらったリンゴを母さんに渡すと、嬉しそうに中を見る母さん。 「このリンゴ美味しいのよねー。お礼言っとかなきゃ」
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