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「今度の家庭科の授業、楽しみだね」 綺音ちゃんが、次の授業の準備をしながら言う。 「…まぁ、楽しみといえば楽しみだけど。でも、授業で絵本作って、部活でも絵本作って。なんか、絵本ばっか」 今度の家庭科の授業は、4~5人のグループで幼稚園児向けの絵本を作って。 夏休み明け、近くの幼稚園での保育実習で、幼稚園児に向けて発表するという授業。 「でも、他の人と1つの絵本作るのも楽しいかもね」 いつも部活では一人で作る絵本。 それを、みんなで作るというのも楽しいかもしれない。 「恵梨、家庭科の絵本、一緒にやろうなー」 そこに、貴明が参加してきた。 「…人にやらせるつもりでしょ、絶対!!」 貴明は、絵が下手だ。 さらに、すごく不器用だ。 昔からずっと。 だから、こんな奴と一緒にやったら、足を引っ張られるだけだと思った。 …けど。 隣で、綺音ちゃんの目が輝いている。 「はいはい。あと、1人、男の子考えといて」
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