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たいして、私は、頭は中の上くらいだろうか。 …バカなわけではなかったと思うけれど、特に目立たない。 運動神経は、はっきりいって悪い。 体育の時間は、大嫌いだった。 スポーツテストなんて、さらに大嫌いだった。 ただ、人より少し器用だった。 美術の時間が大好きだった。 そんな私は、美術部だった。 美術部の部室は、美術室。 絵を書いたり、作品を作ったり、楽しかった。 校舎3階にある美術室からは、サッカー部が部活をやっているグランドが良く見える。 そこから、私はこっそり覗いたりしていた。 そんな私たちに接点なんて何もなかった。 ただ、同じクラスというだけ。 話をするのも必要最低限。 友達でもない、クラスメイト。 でも、それで良かった。 植原の笑顔を見て。 植原のサッカー姿を覗いて。 それだけで、十分だった。 そんな初恋だった。
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