9/11
前へ
/171ページ
次へ
「主人公は、ありきたりだけど、犬に決まったよ」 部活の時間、綺音ちゃんにそう言われる。 「…うん、知ってるよ」 さすがに、そのくらい聞いてたよ。 頭の中、真っ白だったけどね。 「ごめんね、恵梨香ちゃん。花井くんが、ああいう奴だってこと、わかってたのに止めれなくて」 …そんなの、綺音ちゃんが悪いわけじゃないのに、謝る綺音ちゃん。 「綺音ちゃんが悪いわけじゃないよ、、、私の方こそ、ごめんね、言えなくて」 …今でも、植原を好きだって。 諦めるって、大丈夫だって、嘘ついて。 「…わかってたから、大丈夫。だって、ほら、、、」 …そっか、綺音ちゃんは、気付いてたんだ。 気付いてて、何も言わないでいてくれたんだ。 「今だって、ばっちり外見てる」 あんなに、痛かったのに。 綺音ちゃんに言われた通り、今でも、私は外を見ていた。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加