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まだ夢を見ている。
きっと目を覚ますと、いつものようにベッドの上に来ては私の顔を舐めるのだろう。
遊んでほしくて足を噛むのだろう。
私もいつものように、ちょっとウザいと思いながらも抱き上げてお腹の匂いを嗅ぐのだろう。
おかしいなーって、まだ夢の中だ。
現実に戻ったら彦斎を探して、こう言わなきゃ。
「ごめんなさい」
なんで謝るんだろう?
これが現実なわけじゃないのに。
逃げてもダメって言いながら追いかけてくるリアルの空気が、体に絡みついた。
彦斎は死んじゃったんだ。
お経を聞いて、最後に抱っこした。
ちょっと臭くて、でもそれすら愛おしくて。
これから焼かれちゃうってとき、火葬のスイッチは母と2人で押した。
私はずっと俯いてて、黙って不機嫌に泣いていた。
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