3人が本棚に入れています
本棚に追加
慌ただしく動き回る人たち。
長くは嗅いでいたくない薬品の臭い。
そして・・・二度と見たくは無かった心電図を映すモニター。
「・・・やぁ」
「おっ!素晴らしい勝利だったねっ!」
彼女は病室のベッドの上にいた。
全国放送される魔闘術会を見ていたのか、テレビはつけっぱなしだ。
淡々とニュースを読み上げるキャスターがこの病室の唯一の音源だったんだろう。
「・・・倒れたんだって?」
リモコンを手に取り、テレビを消した。
静寂が訪れる・・・と思ったのは一瞬だった。
「うーん、ちょっとね、軽い貧血?ほら、君が今まで無茶させるから」
「僕のせいなのか!?君が勝手にはしゃいでただけだろ?」
断言しておく、僕は悪くない。
なのに僕だけ看護師に注意されたのはおかしい。
「まぁまぁ・・・それにしても君、とてつもなく強いじゃん。何で隠してたの?」
「別に・・・」
魔闘術会は予選をバトルロイヤル、つまりは8つの決勝進出枠を決める生き残り戦、本戦は2:2のタッグマッチで行われた。
僕はそのバトルロイヤルで広範囲殲滅魔法、最上級の中でも最も難しい魔法を使い一掃した。
残ったのはたった2組。
そのどちらも1:2という状況で僕がとどめを刺した。
それを見て、彼女は強いと言ったんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!