5章

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慌ただしく動き回る人たち。 長くは嗅いでいたくない薬品の臭い。 そして・・・二度と見たくは無かった心電図を映すモニター。 「・・・やぁ」 「おっ!素晴らしい勝利だったねっ!」 彼女は病室のベッドの上にいた。 全国放送される魔闘術会を見ていたのか、テレビはつけっぱなしだ。 淡々とニュースを読み上げるキャスターがこの病室の唯一の音源だったんだろう。 「・・・倒れたんだって?」 リモコンを手に取り、テレビを消した。 静寂が訪れる・・・と思ったのは一瞬だった。 「うーん、ちょっとね、軽い貧血?ほら、君が今まで無茶させるから」 「僕のせいなのか!?君が勝手にはしゃいでただけだろ?」 断言しておく、僕は悪くない。 なのに僕だけ看護師に注意されたのはおかしい。 「まぁまぁ・・・それにしても君、とてつもなく強いじゃん。何で隠してたの?」 「別に・・・」 魔闘術会は予選をバトルロイヤル、つまりは8つの決勝進出枠を決める生き残り戦、本戦は2:2のタッグマッチで行われた。 僕はそのバトルロイヤルで広範囲殲滅魔法、最上級の中でも最も難しい魔法を使い一掃した。 残ったのはたった2組。 そのどちらも1:2という状況で僕がとどめを刺した。 それを見て、彼女は強いと言ったんだろう。
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