向日葵

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(6) 私は、瀬川雪菜と会うことを決意した。 夫と向き合うのは苦手だから、まずは単にいろいろ言いやすそうな方を選んだのだ。 夫は2、3ヶ月に一度、支社のある大阪に一泊の出張がある。 その日をその時と狙い待つと、程なく2週間後にその日が来た。 パートを休み、夫を送り出すとすぐ、念入りに支度を始める。 ゆっくりと出掛け、会社の近くで早めのランチを楽しんだ。 そして、会社の前に移動し、夫の携帯で確認していた彼女の携帯番号へ掛けた。 午後の業務が始まった頃に、わざわざ。こんな意地悪だったっけ、私って。 「はい、どちら様でしょうか?」美しい声は営業用? 「守山瑞季と申します」私は冷静な心のまま、 静かに答えた。 守山と聞いて、明らかにハッと緊張した様子が分かった。 だが、ひと呼吸のちに、 「守山様、でございますか?」と再び問われた。 『とぼけちゃって』 「守山雅文の妻です」 私の感情のない声が勝手に答えていた。 雪菜は、3時頃に時間を作って抜けるとのことで、私は敢えて会社の目の前の喫茶店を指定して待った。 事務の制服は淡いピンク。派遣社員のみが着用らしかった。 制服の上に薄手のグレーのカーディガンを羽織り、彼女が私の前に現れた。 当たり前かもしれないが、先日の夫とのツーショットとは、表情も雰囲気も違う。 相変わらず地味目で、緊張の面持ちの瀬川雪菜。 そして、その肌は、近くで見ても美しかった。
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