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まぁ、一度の話し合いで決着が着くとは、我ながら虫のいい話かもしれない。
朝、夫は無言のまま・・・は、いつものことだけど、機嫌の悪さを隠すこともなく出かけていった。
妻らしいことを思えば、こんな精神状態で、会社でトラブらなけれぱいいけど。
パートの弁当屋で、いつもの如く笑顔を振り撒き接客に励んだ。
高校生や大学生、20代前半の子供子供した子には最大の笑顔で。
それ以外の客へはシワにならないよう抑えている。
そうね、やっぱり、私は子供が欲しかったのかも。
夕方、私は久しぶりに実家を訪ねた。
兄夫婦と同居をしているため、手土産持参の気遣いは忘れない。
兄嫁が、なんとなく苦手なのだ。私を客扱いするから。
両親はまだまだ年寄りじみてもいなくて、父は退官後パートをしてるし、母も夫婦の家事は続けていた。
両親と晩ご飯を食べて他愛もない話をしていると、兄がやってきた。
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