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深夜になってから帰宅した。実家を出たのはもっと早い時刻だったけど、夫を避けてみた。
結婚以来、私がここまで遅い帰宅をしたことはなかったから、もしかしたら連絡が入るかもと思っていた。でも、なかった。
駅前のファミレスでわざわざ時間を潰し家に戻ったが、夫はいなかった。朝出たまま、まだ帰宅していないようだ。
『瀬川雪菜宅』
私は心中で嫌味を言い、風呂に入って寝た。
翌朝も、夫は帰っておらず、私は、こう読んだ。
少なからず、雪菜は別れようと思っていたところへ、私との離婚話を持って夫が会いに行き、揉めてるうちにあれを致し、(離婚するつもりならいいかと)開き直ってお泊りに相成ったと。
『お盛んですこと』
それ以上、二人のことは考えないことにした。
考えたところでどうにもならないし時間の無駄だもんね。
夫婦二人分の簡単な家事を済ませ、パートに出る。
私は私の生活ペースのままでいた。
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