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夜、私はいつもと変わらず一人分の食事を作り、一人で食べた。
片付けをしていたら、夫が帰ってきた。
夫も普段と変わらず、定時退社であっても外で食事を済ませてくる。
「話、しようか」
私は夫に声を掛け、お茶を二人分いれたりしてみた。
「瑞希・・・気持ちは変わらないか?離婚の」
ダイニングテーブルを挟んで向かい合った。
夫の声は静かだった。暗い、とも言える。やっぱ衝撃だったんだ。
「うん」
私は簡潔に答えた。
夫はお茶を啜ると、咳払いを一つした。珍しく私の目を見つめていた。
「あんな真似して済まなかった・・・彼女とは別れるし、もう二度としない・・・って言っても無駄なのか?」
「うん。理由はそれだけじゃないから」
夫は深いため息を一つついた。
「わかった…離婚するよ」
『やった』
私は心の中でガッツポーズをした。
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