向日葵

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別れた人を忘れられずに、こんなに素敵な茜さんがずっと寂しく暮らしてるなんて・・・とは、私の浅い人生観。 茜さんはポツリポツリと言葉を続けた。 「23歳の時、婚約者が急死したの。その時、お腹の赤ちゃんもダメになってしまった」 あんまりじゃないの、神様。茜さんが可哀想過ぎる。 私はなんにも言えず、涙を流すまいと目を擦り続けた。 茜さんは私の背中をトントンと優しく叩いてくれた。 なんで、茜さんはこんなに優しいの? 「私のために泣いてくれてありがとう。私は、もう泣けないから」 茜さんがそう言って、私を見つめた。そして、突然吹き出して笑い転げた。 私のアイメイクが涙でグチャグチャになっていて、茜さんは泥棒みたいだと言った。なんで泥棒?そこはパンダじゃないの? 結局私も一緒に笑って、最終的には楽しく盛り上がり、女二人の飲み会は真夜中過ぎまで続いたのだった。
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