113人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
(19)
『嫌ではなかったから』
寝た理由を聞かれたらそう答えた。
聞かれなかったけど。
愛がなくてもできると、夫でわかっていた。私はそういう女なんだと。
オジさんは、落ちぶれてなどいなかった。
溢れるほどの才能と資産。きらびやかな交友関係、そして男としての・・・。
多分、その年代のおじさんというのはこういうものと言う先入観が、そう見せていたんだ。
オジさんに抱かれてから、見る目が変わったと言えばそう。
すごく・・・感じた。夫と比べたらいけないけど、オジさんは私をイカせてくれた。
というか、私は、オジさんのことを好きなんだと思った。
初めて飲みに行った時から、少しずつ距離が縮まっていって、少しずつ好きになっていった。
好きということに気がつかなくて、大人の社会人同士なら、こういう心地良い関係がアリなんだという納得でいた。
翌朝、オジさんは一度自宅マンションに戻って着替えたりして、また私を抱きに来た。
どういうわけか、私は何度も抱かれることに抵抗なくて。
結局、土日を私の狭いベッドの中で過ごしてしまった。
『私の体を気に入ったんだな』ぐらいに思っていた。
気持ちいいからこの関係もいいや。好き、なんて重いよね。
最初のコメントを投稿しよう!