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「瑞希さん。明日の夜、久しぶりに三人でどう?」
木曜の定時間際、グループ長が唐突に話しかけてきた。
不意打ち。明日もオジさんと過ごすつもりでいた私は、うっかりオジさんに視線を走らせてしまった。オジさんは目を逸らした。
その視線のやりとりが、グループ長に全てを悟らせてしまった。
「・・・尾治さん、ちょっといい?」
マジな感じで、グループ長がオジさんを呼び、二人で会議室に入っていく。
ドアを閉める直前に顔をこちらに向け、
「瑞希さん、今日は定時で上がっていいから。それと、明日の飲みはなし」
と、素っ気なくグループ長は言い放つ。
居室に一人になった私は頭を抱えた。
『まずい、バレたかも。あの様子だとバレた・・・なんか嫌な予感がする』
会議室に向かうオジさんの固い表情を思うと、自分の脇の甘さを呪った。
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