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翌日の金曜日、私は昨夜連絡のなかったオジさんが気になって、出勤前にマンションに寄ってみた。
オジさんは留守だった。昨夜はどこかに泊まった?
職場に着くと、いつも通りの業務をこなす。
オジさんもグループ長もいつも通り。
でもなんだか、少しだけ空気が重い。
私は定時後になにかしらのアクションを覚悟していた。
「えっ?」
グループ長から昨日の続きが当たり前のように、定時後に時間を作るように言われ、私だけ会議室に呼ばれた。オジさんは午後から出張。
グループ長の言葉はあんまりにも想定外で、私は一瞬耳を疑った。
『瑞希さん、君、今月末で退職してくれる?』
どうしてかって言うと、昨日、あのあと、オジさんは全部喋ってしまったと言う。私の弁解の余地もないほど。
最近、二人して飲みの誘いを断るから、グループ長はおかしいぐらいは感じていたそうで。
だから昨日の、グループ長曰く目配せ(と言うより視線のやりとりだけど)でピーンと来たそう。
「どうして私が退職しなくてはならないのですか?」
私には納得がいかなかった。お互いに独身で、なんの問題があるわけ?
今時、職場恋愛禁止なんだというなら、もうオジさんとは付き合いませんけど。
「瑞希さん。悪いが、このことは外には漏らしたくないんだ。あの人には今はここで何事もなくジッと業務を遂行していて欲しい。でないと、ある時期が来たら・・・」
グループ長はここで言葉を切り、お茶を濁す。
「私は口外しませんから」
私は内心必死だった。ここで職を失ったら元も子もなくなる。こんな好待遇なんて今後絶対にありつけない。新人研修だってあんなに頑張ったのに・・・。
こんな馬鹿なこと!
ちなみに労組や人事に掛け合っても無駄とのこと。
そこの事情のわかる幹部には既に耳に入れていて、私が乗り込む可能性の窓口にはお達し済みなんだと。早すぎる対応。さすがクレーム処理グループ。
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