向日葵

43/47

113人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
聞いていたら、壮大な計画に私が横槍を突っついたみたいなことになっていたことが分かった。 不倫でクビになりかけた人が、職場の訳あり社員と恋愛など許されないらしい。 清廉潔白な身で謹慎して、綺麗に返り咲かなければ示しがつかないのだろう。よほど、あの不倫が単なる気の迷いであり、自らの質から来るものではないとしたいらしい。 もう、私が太刀打ちできるようなレベルではなかった。ゴネたら、どんな人達と対面することになるか、想像したら怖くなった。 オジさんは私に、早急にこのアパートから引っ越すこととグループ長の言っていた月末の退職を迫ってきた。 その見返りとして、500万出すとのこと。損はないけど。職場を失ったらはした金だ。それで一生食べられるわけではない。 でも渋々ながら、申し出を受けることにした。そうするしかなかった。 『愛してるんじゃなかったっけ?』 喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。話を混ぜっ返すことはない。喧嘩別れも嫌だった。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加