向日葵

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(22) 翌週、退職の手続きのため、人事部を訪れて茜さんを探すと、すぐに茜さんが目で合図を送ってきた。 30分ほどで手続きは終わった。あっけないほどに。 茜さんは、人事部の外で待っていた。 茜さんとはあれ以来飲みには行けてなかった。 タイミングが合えば、食堂で一緒に食べたりはするけど。あそこで深い話はできない。 「瑞希さん。私にもお達しが来たわ」 「あ・・・そう・・・なんだ」 少し期待してたけど、茜さんの目を冷たく感じた。 どんなお達しだったんだろう。 「女癖の悪い人」 「え?」 「・・・というシミを広げてしまう」 ああ、オジさんね。茜さんは派閥のこっち側なのね。 「いろいろ、ごめんなさい」 茜さんは少し表情を和らげながら、「誰かに謝るようなことはしてないでしょ」と言い、クスッと笑った。 「茜さん、正直私は、なんだか釈然としないの。言われた通り辞めはするけど」 茜さんは私の顔を見つめた。明るい廊下だったから、茜さんの瞳の色や大きさ、白目の白さがはっきり見えた。本当に綺麗な目。 「尾治事業部長はね、前はそう呼んでいたんだけど、今の社長がいなかったらとっくに取締役だったの。あの人の周りは、あの人を守るために躍起になってる」 まるでお祭りの神輿だね。
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