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私は感情移入をそのままに、夫と瀬川雪菜の行動を追った。
メールからは詳細が不明ながら、大体のことはわかった。
瀬川雪菜は派遣先である夫の会社では浮いた存在だったようだ。
派遣社員を雇うことを嫌った先代社長亡き後、2代目社長は女子社員が退社すれば、後釜に派遣を据えたのだ。
瀬川雪菜は三人いる派遣社員の中で唯一独身の30歳。女子正社員はフロアでは4、5名ほどだが交流はないようだ。
見た目は地味で質素ながら、夫曰く『整った顔立ちが好ましい』そうだ。
好きな人には堪らないという感じだろうか。
男性社員からのアプローチは日常茶飯事で、彼女にすればとばっちりだが、そのことから女子からのやっかみが酷かったようだった。
社内で孤立していた彼女に、なんらかのピンチがあった。それをフォローした夫は、彼女にとれば白馬の騎士だったのかもしれない。
いや、文面からは、以前から思いを寄せていたような節も読み取れる。まぁ、どちらでもいいけど。
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