第1章

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痛いなぁと、赤くなった額を指でなぞるスズを見て、うっすら笑う。 我ながらいい名前を付けた気がする。 短くて、覚えやすくて、何より彼女の明るくて凛とする様がスズの名にピッタリだと思った。 ―どうやってこの名前を考えついたんだっけか。思い出せない。― そうこうしているうちに、階段を上りきり、太陽の光が顔を照らした。 眩しい。今さっき思ったことを後悔した。 ―俺にはやはりあの薄暗い地下街がお似合いだな。― 速すぎもせず、遅すぎもない速度で、二人は足を踏み出し歩き出した。
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