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未だに状況が理解出来ず頭の中は真っ白、
ただ「ぼ~」っと車内から見える風景だけを眺めていた。
今どこを走っているのか、
どこへ向かっているのか全く分からなかった。
なぜなら、
その地は今日初めて降り立った地であるからである。
無言で外を眺めている僕に、
刑事さんが色々と話しかけてきた。
どんな内容の話であったかは全く覚えていないが、
とても穏やかな口調であったことは、
なんとなく覚えている。
車が現場から走り出してから、
15分くらいたった頃、
助手席の刑事さんがまた、
携帯電話で警察署と思われる所に電話しており「あと、
5分くらいで到着します」というようなことを話していた。
それから間もなくして、
車のフロントガラスには、
かなり古びた警察署らしき建物が映ってきた。
築数十年たっていると思われ、
白い外壁もあちらこちら黒ずんで汚れており、
まるで廃墟になった心霊スポットのような不気味な雰囲気が漂っていた。
僕は、
心の中で「近づくな!近づくな!」とずっと念じていたが、
そんな心の叫びも虚しく車は容赦なく建物へと近付いていく。
そして、
いよいよこれから僕は、
自由を失った暗い生活への幕開けとなるのであった。
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