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そして女性秘書の腹を指さした。 「ギョウチュウとかカイチュウとかって言ってな。腹の中で、こんなふうに長い生き物でな」 そう言いながら、女性秘書の腹を人差し指で撫で回した。 人差し指は、必要以上にクルクルとうねるように卑猥に動く。 それでも、女性秘書は直立したまま逃れようともしない。 あたりまえ、当然のことのように卑猥な指の動きを受け入れていた。 教授の女性秘書が、秘書以上の関係であることは公然の事実だ。 特に器量がよいというわけではないが、黒色のスーツの上からでも、におい立つような色気が感じられる。 浅黒い肌が、なまめかしいツヤを帯びていた。 名前は、タケウチだったかカワウチだったか。 梅里は、教授の好色な顔にいらつきを覚えた。 テーブルの料理に箸をのばすと、細長く切られた中国豆腐をつかみあげた。 「ギョウチュウなら知ってますよ。ガキの頃、検査させられたアレでしょう。本で見たことあります。こんな、長いヤツねえ」 言いながら、中国豆腐をひと息ですすった。
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