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そういうことか。 梅里は教授の真意に気づきはじめた。 「どうやら、そんなワシにも寄生する、物好きな寄生虫がいるようだ。ここ最近、ワシの仕事の上前をかすめとる、太えヤツがいるらしい。去年の九月と今年の二月、まるで狙ったかのように、ワシの仕事に厚労省の役人がピンポイントで介入してきた。さらに、昨年からこの春にかけて、大切な商売道具が三度も何者かに奪われた。どちらも内情に詳しいヤツの手引きがあったに違いない」 やはり。 梅里の思ったとおりだった。 教授は自分たちを疑っているのだ。 昨年から今年にかけて、教授の仕事に続けて邪魔が入った。 教授は身近な人間に裏切り者がいると踏んでいるのだ。 「ワシは寄生虫には寛大だ。そういうずるがしこいヤツは嫌いじゃない。かわいい寄生虫でいるうちは、大目に見てやろうとすら思う。だがな、その寄生虫がアゲハヒメバチだったら・・・」 教授は一旦言葉を区切ると、全員をゆっくりと見回して言った。 「アゲハヒメバチだったら・・・許さない! 絶対に許さない! 見つけ次第、息の根を止めてやるっ!」 教授が凄んだ。 そしてそれぞれの顔を順々に睨みつける。 室内は重苦しい雰囲気に包まれた。
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