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特に、昨年末から大学を中心とする捜査では、ほぼすべてが教授のブツだった。
「教授は、東南アジアから流れてくる合成麻薬を捌く売人だ。主に学生を相手にしていたから、教授と呼ばれるようになったらしい。いや、関東のドラッグ市場は縄張りが厳しくてな、学生くらいしか相手にできなかったんだ。ところが、近年、北ルートのドラッグが急に途絶えてしまった。経済制裁やらなんやらでな。そこで枯渇した市場に、東南アジアルートのドラッグが一気に流れ出した。その波に乗って、教授は勢力を拡大したってわけだ。今では関東圏でも指折りの元締めだ。ああ、ちょっとここら辺で停まろうか」
佐々木は、梅里に車を停めるよう指示した。
本部からの指示があるまで、あまり動かないほうがいいと判断したからだ。
梅里が車を路肩に寄せる。
「ようするに、教授を捕まえればいいってことでしょ。潜入捜査でも何でもして、俺が尻尾つかんでやりますよ」
佐々木は聞き漏れがないよう、車載無線の音量を上げた。
「教授を捕まえることは簡単だろう。政財界に友達が多いらしくて、公の場にちょくちょく顔を出すようだし。上の方じゃ、教授の居所くらいはつかんでるはずだから」
「ど、どういうことですか? なんで居所がわかってんのに、捕まえようとしないんですか?」
梅里は、つかみかからんばかりに、佐々木に詰め寄った。
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