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だからこそこの仕事を成功させれば、また少し教授の右腕へと近づけるのだ。 もう少し。 もう少しだ。 午前八時きっかりに、梅里は品川のコインパーキングにいた。 十二番スペースに駐車された緑色のセダンの後ろトランクから、小瓶を取り上げ、早朝の陽光にかかげて見る。 花模様のカラフルなラベルが貼られていた。 透明の瓶の中には白色の錠剤がギッシリと詰め込まれている。 錠剤の表面には『m』に似た模様が刻まれているのが見てとれた。 「何が芳香剤だ」 梅里は舌打ちをした。 自分の仕事に吐き気がしそうだった。 それでも教授の信頼を得るためには、このヤマを成功させる必要があった。 叩きつけるようにトランクを閉めると、ぞんざいに車の後部座席へ乗りこんだ。 「出発だ」 景気づけに、車内で大声をあげ、運転席のシートを蹴り上げた。 ハンドルを握る棚橋が、一瞬すくみ上がる。 そして梅里を乗せた車は、通勤通学ラッシュの道路に、紛れ込むように走り出した。
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