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荒い息を懸命に殺して、相手の出方を待つことにした。 ころころと小石の転がる音がする。 何かが上のほうで動いているのだ。 木の枝が折れる音とともに、地面を踏みしめる音も聞こえた。 間違いない。 誰かが下りてきた。 音が次第に近づいてくる。 まさか、ここに隠れていることがばれたわけではあるまい。 梅里は、無理やり呼吸を止めた。 こんな時には、心臓の鼓動さえうるさく感じる。 足音は、梅里の右側を抜けていった。 ほっと胸をなでおろす。 金属が擦れる音が響き、声が聞こえた。 車のドアを開けたのだろう。 そして、棚橋の姿を見て何かを言ったのだ。 小さな声で聞こえなかったが、短く吐き捨てるような言葉だった。 荒い息遣いに合わせて、布が擦れる音がする。 そしてドスンと何かが地面に落ちた。 いったい何をやっているんだ。 梅里は、静かに頭を持ち上げて、車の方へと視線を向けた。
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