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長髪で、整った顔立ち、すらりとした体型、黒いジャケット。
あいつだ。
中華料理店で席を隣にした、赤坂という男だ。
この走行ルートを提案した男。
そうか、これは監視カメラを避けた走行ルートであると同時に、荷物を奪い取るためのルートでもあったのか。
教授が危惧していた裏切り者の正体は、あの男だったのだ。
嵌められた、完全に。
いや、だが待て。
この一年間、教授と仕事をしてきて、あいつを見たのはこのヤマが初めてだ。
しかし、教授は複数回に渡って荷物を横取りされたと言っていたはずだ。
だとすれば、裏切り者は他にいるのだろうか。
それとも、この男と共謀している誰かがいるのかもしれない。
男に襲い掛かり、ねじ伏せて真実を聞きだしてやろうか。
首は痛めているものの、腕力には自信があった。
あんな華奢な男に負けるわけがない。
男は、棚橋を大きな岩に持たれかけさせていた。
注意は完全にそがれている。
今がチャンスだ。
梅里が飛び出していこうと身構えた瞬間、男がポケットから拳銃を取り出したのが見えた。
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