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赤坂篤志は、喉元を、熱した棒で突き刺されたように感じた。 首が燃えるように熱い。 息ができなかった。 喉元からあふれ出た血は、あっというまにジャケットを濡らした。 撃たれた衝撃で、尻餅をついていた。 足をバタつかせながら、後ずさりをする。 目の前の女との距離を少しでも離したかった。 ただドラッグを取ろうとしただけだ。 だが、河内はそう思ってくれなかった。 拳銃に手を伸ばしたと思ってしまったのだ。 勘違いだ。 敵意はない。 言い訳をする暇もなかった。 河内は、なんのためらいもなく発砲した。 「最初から私を裏切るつもりだったのね。ドラッグを独り占めするつもりだったのね。そして教授に、私を売るつもりだったのね!」 俺はなんて馬鹿なんだろう。 女に騙され、裏切られ続けた人生。 たった、二十六年の短い歳月も、女の手によって終わりにされようとしている。
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