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まさか、こんなに上手く命中するなんて思いもしなかった。 今日の俺は、やっぱりツイているのかもしれない。 うつぶせに寝転ぶと、ひくひくと引きつった笑いを浮かべた。 死ぬときくらいは、笑っていたいもんだ。 赤坂は下唇をさすった。 だが、わからないことがある。 なぜ、俺のレンタカーのトランクには、ドラッグではなく死体が入っていたのか。 まるでマジックのように入れ替わっていた荷物。 誰かが入れ替えたのか? そんなことができるのか? 荷物を載せてからというもの、自分で車を走らせ続けていた。 ここに到着してからも、キーは肌身離さず持っていた。 つい数時間前に借りたレンタカーだ。 知らぬ間に合鍵を作るなんてことができるわけもない。 やはり、無理だ。 トランクの中の荷物を入れ替えるなんて、現実にはありえないことだ。 本気で薬物による幻覚作用を疑わざるをえない。 赤坂は、もう一度トランクの中身を確認しようとあがいた。 這いつくばりながら、手足を動かし、レンタカーに近寄って行った。
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