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首から流れ出す血で、手足が滑って上手く進めない。
呼吸もできず、意識が遠のいてきた。
視界は、ぼんやりと白い紗がかかり始めた。
突然、目の前に一台の車が現れた。
白いセダン。
横腹のドア部分には、赤と青いラインでレンタカーショップのマークが描かれていた。
どういうことだ?
俺のレンタカーが走っている。
いや、違う。
俺の乗ってきたレンタカーは、そこにある。
では、この走りこんできたレンタカーはなんだ。
同じレンタカーが二台あるのか。
車からひとりの男が降りてきた。
自分に駆け寄り、懸命に叫んでいる。
「おまえたち、なんてことをしやがったんだ。これ以上、犠牲者を出す必要なんかないんだ。大丈夫か、しっかりしろ」
大丈夫なわけがないじゃないか。
男が何の話をしているのかさっぱりわからない。
男の顔には見覚えがあった。
昨晩、教授との打ち合わせに参加していた男だ。
確か、名前は・・・梅里。
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