R&Bだったらいーんだよ、グリーンだよ。

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R&Bだったらいーんだよ、グリーンだよ。

「いらっしゃいませ!」 あたしの笑顔の先には 顔馴染みの 飲食店経営のヒロさんがいた。 ヒロさんは 誰にでも優しかったし よくホロ酔いでアフターにも出た。 悠チャンとも仲良くしてくれて あたしの大切なお客様の中の一人だった。 「今日は 週末だし凛チャン 忙しそうだねえ」 少しすねている。 「ヒロさんの横が1番好きだから早く戻れる様に 頑張ります!」 あたしが言うと ヒロさんは優しく笑ってくれた。 恋愛を知らないながらも 仕事はこなせた。 男の人がフイに見せる表情や 言葉の駆け引きを あたしは あたしなりに 解釈して 出来るだけ雑にならないように接客した。 まあ、ヒロさん程仲良くなっちゃうと 雑な時が多かったりするんだけどね。 毎回手探りになる分 いろんな事を 発見出来たし あたしの恋愛感と 仕事に必要な恋愛感は 全くの別物だったけど 特別支障はなかった。 たまに自分自身の発した言葉に笑っちゃう事もあるけどね。 ご愛敬。 次に付いたテーブルは 最近出会ったお客様。 この人も自分で会社をしてらっしゃる人で だけど なんなんだろうか、 波長の合い具合とか 完璧だった。 「ケニーさん!いらっしゃいませ!」 ちなみに『ケニーさん』は生粋の京都人です。 彼の話は本当に おもしろくて 多分ヘルプについた子も 毎回楽しんでるんじゃないのかな。 こっちが料金を払わなきゃと思う位 話をするタイミングやらネタは最高だった。 だけど楽しい時間は そんなに長くは 続かないもんだよね、 それ位知ってるよ。 あたしの不安は見事に的中したりする。 ボーイに呼ばれて 進む先には 5、6人の年配の人ばかりいた、 皆それぞれ自分で会社をし、全員が全員 名の知れた人ばかりだった。 「いらっしゃいませ。」 あたしは出来るだけ 愛想良くいつもの席につく。 「おう。」 それだけ返し あたしが横に座ると 社長はあたしの 太ももに手を置いた。 あたしを呼ぶ 社長は その中でも1番 有名でここらへんでは 誰も逆らう人は いなかった。
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