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「あの、さ……」
「はっ、はい」
また俺に話しかけられて興奮でもしたのか、大きな声で返事しようとした男。だが、俺が不快な思いをしたことを思い出したらしく、なんとか途中で声のボリュームを下げた。
男は一応配慮出来る性格らしい。これなら俺も話しやすいかもしれない。
「店の前にいられると客とか通行人の迷惑になるから辞めて欲しい……です。営業妨害にもなってるので……」
「えっ、あ……すみません……。あ、じゃあどうしよう……」
どうしようって、考えるまでもないだろう。男は俺のストーカーだとしても、一応客なのだ。
「入店しませんか?」
「いいんですか!?」
「え……そりゃあ。一応、お客様なので」
「うわあっ、嬉しい! ありがとうございます!」
男はまだ満面の笑みで大きな声で言った。だからもう少し声のボリュームを下げて欲しい……。
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