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「八雲、これ以上おぬしの好きにはさせぬ...。
わらわはこの都を護るためならば、おぬしを封印する...!」
地面に這いつくばる傷だらけの少女。
全身痛めつけられているのに、その瞳は揺るがぬ意思を秘めていた。
それを見下ろす男は、彼女の瞳が気に入らなかった。
憎しみに染まった男の瞳に映るは、自分に向けて封印を施そうとする少女の姿。
「何故だ!何故人間を庇う!!
奴らは俺たちの仲間を山から追い出し、撃ち殺した!
俺たちの家族を殺した人間が憎い、人間を庇う鈴が憎い!!!」
『私が傍にいてやるからな』
鈴、お前は俺にそう言ったじゃないか。
なのに、どうして人間を庇うんだ。
どうして俺から...
「九尾の力において、邪悪なものを封じたまえ!!!」
少女の手から光が溢れ、その光に男は包まれた。
「くそっ..くそおおおおお!!!
覚えてろ鈴!!俺はこの恨みを忘れない!!!
恨みを忘れない限り、何度だって蘇ってやる...!!!」
「その時は、わらわが何度でもおぬしを倒そう...」
消えゆく意識の中、男が最後に見たのは自分から離れていく少女の姿だった。
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