第一章

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『えーん、えーん...っ!』 夢を見た。 小さな女の子が泣きながらうずくまっている。 「どうしたんだ?なんで泣いてるの?」 俺は女の子の傍に行き、落ち着かせるよう背中を撫でながら原因を聞いた。 『名前...名前が分からないの...。 私は自分の名前が分からないの...』 名前が分からない、そう言って女の子は泣きじゃくった。 「じゃあ俺が、君の名前を探してあげるさ。 そして君の名前を呼んであげる」 見ず知らずの女の子の名前を探すなんてほぼ不可能なことなのに、何故か俺はそう言ったんだ。 気休めとかではなく、いつかその子の名前を呼ぶ自信があった。 「約束するよ。 いつか必ず君の名前を呼ぼう」 俺がそう言うと、女の子は泣き止み『うん』と微笑んだ。 そこで夢は終わり、目が覚めたらいつもと同じ朝がきていた。
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