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俺はもそもそと布団から出て制服に着替える。
隣の布団では弟がまだぐっすり眠っていた。羨ましい。
一階に降りて用意されていた朝食のパンを食べ、そのまま学校へ向かう。
『紅、今日は早いんだねー』
学校までは徒歩20分。
いつもの通学路を歩いていると、頭の上から声がした。
「ちぃ、君はいつになったら成仏してくれるんだ?」
『だってー、何にも思い出せないもん。
ずーっとここから動けないし、私も早く成仏したいよーっ』
通学路にはずいぶん前から女の子の霊がいる。
見た目は10歳ほど。
彼女と出会ったのは俺がまだ小さい時だった。
ちぃという名前は、記憶がないという少女に俺がつけた名前。
小さいから、ちぃ。
適当につけた名前なのに、本人はその名前をたいそう気に入った。
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