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これでいい。
これで、大体丸く収まる。
ただ、少し時間は
かかるかも知れないが。
つるんでいた仲間は、
俺が女に手を付けたことを
察して帰っていったあとで、
荒れた店内には
小さくなった蝋燭の火が
ゆらゆらと揺れている。
仮初の営みに身体が燃えたのは
ほんの一瞬のことで、
反比例するみたいに
冷え切った心はひどく冷静に
目の前の光景を見つめていた。
雨が降っているのに、
空気は乾燥している。
遠くの方の雲間には、閃光が走る。
少し遅れて、ごろごろと雷鳴が轟いた。
──さむい。
ポケットに手を突っ込みたいのに、
スキニーパンツじゃ指先を少し
引っかけるくらいしかできなくて、
肩を竦める。
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