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「兄さん!」
バンとドアを開けて、
誠司が飛び込んできた。
血相を変えたその顔で、
ただ事ではないことを知る。
いつも穏やかで冷静な弟が
ここまで狼狽するとは、
何事だ。
「なんだよ」
ベッドに座ったまま
腹の上で抱いている
ギターの弦を軽く弾きながら、
のろりと顔を上げる。
誠司はまだハアハアと
息を切らしながら、
足音を立てて
俺の前までやってきた。
「──どういうことだよ、
色んな女と遊んでるのは
知ってたけど……
なんて約束してんだ、あんたは!」
──あ。
……バレたのか。
「何のことだ」
それでも一旦は
すっとぼけてみせる。
誠司がどこまで
掴んできたのか、
判らなかったからだ。
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