崩れ然る固定観念

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  病院で目を覚ましたらしい そいつは、 ただひたすら 「知らない男にやられた、 たぶん通り魔だった」と 繰り返し語ったらしい。 おかしな話だ。 やつは俺に引きずられて あんなところまで ついて来たはずだ。 いくら俺が力任せの喧嘩では 負け知らずと言ったって、 最初の一発くらい 判りそうなもんだろう。 藤堂さんにしつこく 問い詰めたが、 「まだ餓鬼なんだから そんなこと気にするな」と にこやかに返されるだけで。 俺は、とんでもない人間に 懐いていたんじゃないかと ぞっとした。 .
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