崩れ然る固定観念

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  「だって、お前のあととか 最悪じゃねえか」 「バカか!」 誠司はもう一度叩く。 机の上にばらまいていた コレクションのピックが、 ぱらぱらと床に落ちた。 それをぼんやり眺めてから、 弦に視線を戻す。 「……まあ、 お前の気に入りがいたら、 引っこ抜いて 持ってってくれても構わないが。 ただし列に戻すなよ」 「畑の野菜みたいに言うなよ! ……女の子を何だと思ってんだ」 「畑の野菜か、 うまいこと言うなお前。 確かに一山いくらって感じ」 「笑い事じゃないよ、兄さん!」 「──笑わなきゃやってらんねえ」 納得してくれる様子のない弟に、 ごまかしはきかないらしい。 .
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