崩れ然る固定観念

22/40
前へ
/40ページ
次へ
  「お前、そのこと志緒には言うなよ」 「え……?」 「あいつ、会う度俺が違う女 連れてるの見て、 嫌な顔するけど。 ……俺が好きで 遊び回ってるって、 そう思わせておきたい」 誠司はしばらく 俺をじっと見据えていた。 こいつは頭がいいから、 もし今日ごまかしても、 いつかバレてしまう。 ごまかして済むなら そうしたかったが。 「兄さん、それどういうこと」 「どういうことも何も、 言ったままだ」 「……もしかして、 好きでやってるんじゃないの。 兄さん、取り巻き 侍らかし散らして、 楽しんでるんじゃ……」 「そう見えてるなら万々歳だ」 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1224人が本棚に入れています
本棚に追加