崩れ然る固定観念

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  「じゃあ兄さん、 なんでわざわざ嫌なことしてるのさ」 誠司はガキのくせに、 思ったより頭が 回るらしかった。 溜め息をついて、 ギターを置いて立ち上がる。 立ち尽くす誠司の 正面に立ち、 澄んだ琥珀色の瞳を覗き込んだ。 「2年前、中学で事件があっただろ」 「え……? あ、あの、学校で 女の子が襲われたやつ?」 「そう。 ──あれ、俺の女だった」 「!? どういうことだよ」 「仕掛けたのは、 俺の取り巻きの女達らしい。 そいつらが今度は志緒に目をつけてた」 「……なんだって」 「俺に近付く女が 許せないんだってよ。 ……意味が判らん」 .
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