崩れ然る固定観念

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  ──他人なら、 絶対にこんなこと話せない。 だが誠司は、 たったひとりの弟だ。 信頼なんて、それで充分。 しかも志緒とは 1・2を争う友達でもあるし、 こいつなら彼女を 守るためのことには同意してくれる。 「……ものすごいこと 考えるね。どうかしてる……」 しばらく考えてから、 誠司は浮かされたようにそう言った。 はっきり言わなくても 全部通じてしまうのは、 兄弟だからだろうか。 「兄さんは、それでいいの」 「……それしかなかったし、 もう始めたし。 仕方ない」 誠司は 落ち込んだような声で 「そっか」と小さくつぶやいて。 学校での志緒は 俺がちゃんと見てるから、と。 頼まなくても、 その役目を受けてくれた。 その時の俺はもう16歳で、 誠司も13歳になっていた。 ……志緒も、誠司と同じ。 .
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