崩れ然る固定観念

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「お前は変わった男だなぁ」 最近浴衣やら 作務衣やら甚兵衛やら、 ますますオッサンに 磨きのかかった服装に 凝り始めた藤堂さんは、 髭を剃ったばかりの顎を すべすべと撫でながら、 眼鏡を外した。 近眼ではない。 この人が眼鏡をかけるのは、 PCに向かう時だけだ。 たまに仕事だと言っては ふらふらいなくなるこの男が どう生計を立てているのかは 知らないが、 口で言うように ただのフリーターじゃないことは もう俺にも判っていた。 でなきゃ、 ヘネシーパラディを開けながら 「ちょっと飲んでみるか」なんて 未成年のガキに言えるわけがない。 .
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