崩れ然る固定観念

30/40
前へ
/40ページ
次へ
  「そんなの、判んねえよ。 ……ただの刷り込みかも 知れねえし。 幼なじみとして」 俺が志緒に対して 強い態度に出られない理由は、 それだった。 小さい頃から、 志緒が何を思って 俺についてくるのか、 さっぱり判らないからだ。 他の女達のように、 自分の欲を叶える 格好の道具として 見てるわけではない。 それは判るが、 だからって惚れられているとも 思えなかった。 ……女ってのは 嫉妬に駆られたら 何をするか判らねえ。 どうにもそれは 辛抱できるものではないらしいと、 俺は周囲の女からも学んでいた。 もうとっくに 話をつけているはずなのに、 女達はたまに小競り合う。 その面倒に駆り出されて 何やかやと複数で 遊ぶことになることもある。 そういう日は、死ぬほど疲れる。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1224人が本棚に入れています
本棚に追加