崩れ然る固定観念

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  志緒の周囲の異性は、 昔から俺と誠司しかいない。 他のやつらを 寄せ付けるようなへまを、 俺達はしてないからだ。 ……単に心を許せる 存在として、 慕われてるだけなんだろうな、と。 俺の中では、それが一番 納得できるのだ。 それなら、志緒が俺に 具体的に何も求めてこないことに 説明がつく。 冷めかけた紅茶の香りが 薄まる前に、 こくりと口に含む。 ヘネシーが混ざっているのに、少し苦い。 「俺は時々可哀想になるよ、お前が」 藤堂さんは、 真面目な顔で俺を見ていた。 「なんで。 俺は全部、自分で、選んでる。 哀れまれることなんて何もない」 .
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