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最近、知り合いのロックバンドの
ヴォーカル役も臨時で
ちょいちょい勤めるようになった。
夕方からバイトで時間が
取れなくなるやつがメンバーにいて、
どこの体育会系なんだか
朝からの練習に駆り出された、
その帰り。
夜まで少し仮眠でも取るか、と
ぼんやり考えながら
門扉に手をかけた瞬間。
「あら、拓海くん!
おかえりなさい!」
その声に、ぎくりとする。
少し低いから違うと判っていても。
顔を上げると、
志緒の母親である
珠緒さんがウッドデッキに繋がる
開口部から顔を覗かせ、
俺に向かって手を振っていた。
「……こんにちは。
ただいま、です」
いくら女の扱いに
慣れて来たと言ったって、
志緒の母親となると話は違ってくる。
珠緒さんには、
たぶん自分の母親よりも
ずっと頭が上がらない。
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