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「……それを利用して
来たんだろ。てめえは」
俺にあっさり見透かされても、
女は怯まなかった。
「ねえ、
あまり時間はないよ。タクミ」
「……どういうことだ」
「あたしがみんなを
抑えておけるのは、
もう限界って感じ。
彼女じゃなくても、
タクミの傍に特定の子がいるの、
みんないやなんだよ」
……んなこと、言われても。
「早くあの女の子、
遠ざけた方がいい」
いかにも親切そうなその声に、
虫唾が走る。
……俺が志緒を遠ざけた瞬間、
ここぞとばかりに
襲うつもりだろうが、
てめえらは。
俺の傍に来て、
“Fly me to the moon”を
綺麗な曲だと喜んだ志緒を思い出す。
あの笑顔は、
誰にも壊させやしない。
……絶対に。
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