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瞳の裏側をちりちりと
灼くように苛むその渦は、
俺の鼻や喉の裏をとろとろ垂れ落ち、
胸から身体へと広がっていく。
酒を飲んだ時やライブの時の、
心地いい昂揚や
愉楽なんかじゃない。
ましてや当たり前の
性の享楽や、悦楽でもない。
吐き気がしそうな酩酊感は、
どろりと黒く重い鎌首をもたげて
俺を視ていた。
蛍光の如く
視界をちかちかさせるような毒が、
決して混ざり合わずに
気色の悪いマーブルになりながら、
流れてとろけて正気を取り囲む。
──ああ、吐きそうだ。
熱く締め付ける粘膜に、
ぞくぞくと排泄欲が煽られた。
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